鉄骨構造の場合、
使われる鉄のほとんどは鋼鉄ですが、その鋼鉄い材料で、なおかつ壊れる直前も伸びながら耐えるという粘り強い性質を持っています。そういう鋼鉄を組み合わせて作る場合に、構造設計上、一番気にしなければならないのは接合部です。接合部もただ丈夫にすれば良いというものではなく、そこにどのような力が加わるかということに応じて接合方法や寸法を考えなければなりません。たとえば溶接をしてくっつけたりしますが、その溶接方法が重要です。手間はかかるがくっつけた部分を引き離そうとする力にしっかりと耐える突合せ溶接という方法と、手間は比較的かからず、板の裏表に溶接すればずらそうという力にはしっかり耐える隅肉溶接という方法があります。接合部において、これら2つの方法のどちらをどの部分に使うかということはとても大事な話で、それをいいかげんにすると、そもそも優れた構造材料である鉄骨の良さを十分に発揮させることができないまま、大きな力が加わったときには、接合部で破断することになってしまいます。
木質構造(木造)の場合
材料が木である場合には、強さも鉄の10分の1程度しかなく、割れなども生じることもある自然素材なので、以下に良い材料を用いるかということが重要であると思われるかもしれません。確かに材料そのものを良いものにすることは大事ではありますが、構造設計上、どこで耐力(どれぐらいまでの力に耐えることができるか)が決まるかというと、その多くは接合部で決まります。
木と木をつなぎ合わせて外れないようにするということは、結構大変で、いろいろな工夫を施す必要があります。継手(材と材を長手方向につなぐ箇所)や仕口(材と材が直角にくっつく箇所)の木材同士を留める方法があります。また、金物を使って留めつける方法もあります。いずれにせよ、それら接合部をかかる力に対して十分に耐えうるものにしなければ、構造物として成り立ちません。
良い材料を使うということも重要ですが、材料の持つ特徴を十分に活かしきるためには、
別々部材同士をつなぎ合わせる接合部の性能が重要で、その部分部分の性能が構造物全体の性能を決めることにもなります。
もの、ひと、こと、さまざまな要素を合わせて形ある物にしていくという、プロデュースをするという過程においても、同じことが言えます。
それぞれの素材のもつ特徴を活かしきるためには、接合部をどのようにするかということが非常に重要だということです。
では、プロデュースするという場合における接合部の性能というものは、どのようなものとして捉えれば良いのでしょうか?
その3に続く
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