2012年11月27日火曜日

選挙の投票前に読んでおきたい『経済学に何ができるか』

経済学に何ができるか
猪木武徳 氏 著
中公新書2185

何か端的な答えが書かれているわけではありません。
経済学という学問が、実社会のあり方とどのように関わるものなのか
ということについて書かれています。

この本は、単に経済学について述べられている本ではありません。
筆者は、経済学が対象とする社会そのものの在り方について、
さまざまな視点から考察されています。
その考察の中で、経済学との関わりが示されています。

現在、衆議院の総選挙前に、
各党、各候補者の主張することがらが報道されています。
ある判断を下す際に、
雰囲気にのまれることなく、自分自身でしっかり考えたいと思うのであれば、
この『経済学に何ができるか』のような本を読んでおくべきだと思います。

〇か×かというような単純な割り切りで判断することが難しい状況の社会で、
次に進む方向を見出してくためには、
この本に書かれているようなことがらについて、
みんなが考えなければならないと思います。

2012年11月14日水曜日

短大はコストパフォーマンスの高い軽自動車?

最近のテレビのCMでは、
自動車の中でもとりわけ軽自動車が多く見受けられる気がします。

燃費効率、価格を考えると小型化している分、
軽自動車はとてもコストパフォーマンスの高い車です。

電気自動車に比較するとガソリン車の燃料効率は悪く、
それに勝つことはできませんが、
車両価格まで考えると、軽自動車のコストパーフォーマンスは、
十分、電気自動車と勝負できるものです。

高速道路をぶっとばすというようなことなく、
街乗り用のコンパクトな移動手段として利用するなら、
軽自動車で十分というか、軽自動車が最適かもしれません。

短大は、教育機関の軽自動車的な存在だと言えます。
生きていくための知恵を身につけるのであれば十分です。
2年間で生きていくきっかけを得られることを考えると、
とてもコストパフォーマンスの高い教育機関です。

じっくり、しっかり研究活動に取り組みたい、
学問の探究をしてきたいという人には、
四年制大学、さらには大学院へと進学して学ぶことが必要なのかもしれません。
でも、そうでないのであれば、
コストパフォーマンスの高い短大は、進学先の候補として検討する価値ありです。

今日は短期大学のシンポジウムに参加して、
そんなことをさらに考えてきたいと思っています。

2012年11月11日日曜日

大学が増えて、大学生の学力が低下したという話について

大学設置のニュースが、この1週間の話題の一つとなりました。
大学が増えすぎた、それによって大学生の質が低下しした。
そのため、これ以上、安易に大学を増やしてはならない。
そのことについての是非が取りざたされました。

大学の数が増え、大学への進学者の割合が増えたために、
これまで大学に進学しなかったタイプの高校生が大学へ進学することになっています。
学問を探究するという目的意識や知力の乏しいタイプの高校生が、
より多く大学へ進学することになっている可能性が大いにあります。

でも、そういうタイプの高校生が大学へ進学して学ぶことは無駄ではありません。
長い人生、ものを考えて生きていくための知力を磨くために大学で学ぶことは、
大いに意義あることです。

学問を探究する、基礎研究にじっくり取り組んでいく、先端的な研究を進めていく、というように
研究へと向かう取り組みを目的にしない大学進学者数が増えています。

そういう進学者を受け入れる大学は、
研究に向かう人を育てるのではない機能を持つ必要があります。

大学の役割の一つとして就職率が取りざたされるのは、
その機能の一つが、学生を就職できるような人材にするということであると考えられているからです。

大学教育に投下される税金を以下に抑えるかということを考えると、
いたずらに大学が増えることは望ましくありません。
しかし、平均寿命の長い時間軸でとらえると、
高校を卒業生後に、さらに学ぶ機会を多く提供できることは、
国民全体の知力を上げていくことにつながります。

ものを考えていく生きていくための知力を磨くことの大学、
この数が多くなり、大学進学者の割合が増えても良いと私自身は、考えます。

ただし、そういう役割を果たせているかどうかを大学運営者は考えなければなりません。

さて、ここで、短大について触れておきます。
高校を卒業して、すぐに働き始めるのではなく、
また、研究することを目指して大学に進学するのでもなく、
ものを考えて生きていく知力を磨きたいということのための進学先を求める場合、
その役割を担うことができる短大があれば、
それは進学先の有力候補となります。

高校卒業後、2年間の修学期間で社会に出ることができる短大は、
そういう役割を適切に果たすことができる教育機関となりえます。

私自身は、
短大よりは四年制の方が就職にとっても良いのだろうという思い込みを払拭し、
現時点でも十分にその役割を果たすことができている短大が、
自らの存在理由を示していかなければならないと考えています。

研究者になることを目指したいと思っているわけでなく、
社会に出る前に知力を磨きたいという人には、
4年間もいらないから、コストパフォーマンスの高い2年間で卒業できる短大へ
どうぞお越しください、とお招きしたいと思います。







2012年11月8日木曜日

先週から読んだ3冊 どれも面白い新書本です。

先週から読んだ3冊 どれも面白い本です。 


わかりあえないことから 
 
 平田オリザ 氏 著  講談社現代新書2177

 コミュニケーション能力を磨く授業に、演劇を取り入れた事例のについて書かれています。
 著者が本気で取り組まれていることエネルギーそのものも伝わってきます。
 演劇人が本気で教育に取り組まれると、こういうことになるのだと感心させられます。


ひつまぶしとスマホは、同じ原理でできている 

 理央周 氏 著  日経プレミアシリーズ174

 タイトルをパッと見たとき、ひまつぶし と読み違えました。
 ひつまぶし を初めとして、いわゆる名古屋めしを産む発想の方法が、
 apple社の商品を産む発想力に通ずるということが示されています。
 文脈からうかがえる著者の経歴もユニークで、
 どんどん引き込まれるように読まされてしまいます。

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト

 酒井穣 氏 著  光文社新書439

 2010年に出版された本です。つい最近手に取りました。
人材育成について考えるヒントがたくさんある本です。
AMAZONの書評では、評価が分かれています。私自身は、面白く読ませていただきました。
参考文献や参考サイトが示されていて、次につながります。
何か確定した形のノウハウを得たいと思うような期待には応えてくれません。
面白く生きるための姿勢がおぼろげながら見えてきます。