2007年12月29日土曜日

接合部の重要性 その2

鉄骨構造の場合、
使われる鉄のほとんどは鋼鉄ですが、その鋼鉄い材料で、なおかつ壊れる直前も伸びながら耐えるという粘り強い性質を持っています。そういう鋼鉄を組み合わせて作る場合に、構造設計上、一番気にしなければならないのは接合部です。接合部もただ丈夫にすれば良いというものではなく、そこにどのような力が加わるかということに応じて接合方法や寸法を考えなければなりません。たとえば溶接をしてくっつけたりしますが、その溶接方法が重要です。手間はかかるがくっつけた部分を引き離そうとする力にしっかりと耐える突合せ溶接という方法と、手間は比較的かからず、板の裏表に溶接すればずらそうという力にはしっかり耐える隅肉溶接という方法があります。接合部において、これら2つの方法のどちらをどの部分に使うかということはとても大事な話で、それをいいかげんにすると、そもそも優れた構造材料である鉄骨の良さを十分に発揮させることができないまま、大きな力が加わったときには、接合部で破断することになってしまいます。

木質構造(木造)の場合
材料が木である場合には、強さも鉄の10分の1程度しかなく、割れなども生じることもある自然素材なので、以下に良い材料を用いるかということが重要であると思われるかもしれません。確かに材料そのものを良いものにすることは大事ではありますが、構造設計上、どこで耐力(どれぐらいまでの力に耐えることができるか)が決まるかというと、その多くは接合部で決まります。
木と木をつなぎ合わせて外れないようにするということは、結構大変で、いろいろな工夫を施す必要があります。継手(材と材を長手方向につなぐ箇所)や仕口(材と材が直角にくっつく箇所)の木材同士を留める方法があります。また、金物を使って留めつける方法もあります。いずれにせよ、それら接合部をかかる力に対して十分に耐えうるものにしなければ、構造物として成り立ちません。

良い材料を使うということも重要ですが、材料の持つ特徴を十分に活かしきるためには、
別々部材同士をつなぎ合わせる接合部の性能が重要で、その部分部分の性能が構造物全体の性能を決めることにもなります。
もの、ひと、こと、さまざまな要素を合わせて形ある物にしていくという、プロデュースをするという過程においても、同じことが言えます。
それぞれの素材のもつ特徴を活かしきるためには、接合部をどのようにするかということが非常に重要だということです。

では、プロデュースするという場合における接合部の性能というものは、どのようなものとして捉えれば良いのでしょうか?

その3に続く

2007年12月28日金曜日

接合部の重要性 その1

プロデュースするというカタカナ用語を、これ以外の日本語に置き換えることは、なかなか困難なことです。生産すると置き換えることもピンときません。
私自身は、合わせるという言葉が置き換えのキーワードになると考えています。
プロデュースするということは、いろいろなものを合わせて新たなものをつくり出すことであると理解しています。
ものの合せ方にはいろいろあり、合わせるという言葉がつく言葉もいろいろあります。
重ね合わせる、つなぎ合わせる、組み合わせるなど。結構たくさんあります。
このブログでも、前に、ざっと思いつくだけでもこれぐらいはありますという書き込みを載せました。

いろいろな素材を集めて、それらを合わせて作り上げるというプロセスは、
建築の構造を形あるものにする上でも重要です。

建築をつくる部品のことを部材と呼びます。
鉄骨や木材などを柱(垂直な材)や梁(水平材)として用いるとき、
それぞれの部品を部材と呼びます。
鉄筋コンクリートは、鉄筋のまわりをコンクリートで覆って固めたものであるために、
一体式などといわれるもので、しっかりと作られたものであれば、柱と梁の継ぎ目などもありません。

しかし、鉄骨や木材で組み立てられるタイプの構造物には、それぞれの部材をつなぐ接合部が必ずあります。
構造設計をする上では、この接合部について考えることがかなり重要です。

(つづきは、いずれ、その2で)

ブルーウェーブあつぎ光のフェスティバル

スタンプラリーの様子を4分動画にまとめました。
多くの皆さんの応援で成し遂げることができたプロジェクトですが、
中心で活躍された厚木商工会議所女性会の皆さんのパワーには感服させられます。


2007年12月26日水曜日

青一色の花火の映像をSoapBoxにもUP


Video: Firework Only Blue
青一色の花火の映像をSoapBoxにもUPしました。
閲覧は日本語の画面で見ることができますが、UPするサービスは日本語でまだ提供されていないということを知りませんでした。

冬の夜空を彩った青一色の花火

ブルーウェーブあつぎ光のフェスティバルというイベントの最後を飾る青一色の花火100発が5分間打ち上げられました。(2007年12月23日)YouTube eyeVio FlipClipそれぞれに同じ映像をUPしました。




2007年12月23日日曜日

いよいよブルーウェーブあつぎのフェスタ開催

ブルーウェーブあつぎ光のフェスティバルがいよいよ開催されました。
映像コンテストの上映会と表彰式をまずは盛況のうちに終えることができました。
充実した作品内容のため、上映会そのものも充実したものとなりました。
4分動画と名づけて4分という尺を決めた強引な制約条件も
まとまって見るとなかなかいい感じで、安心して見ることができます。

23日は、いよいよ光のスタンプラリーが行われます、
15時から19時までのイベントですが、
雨もやみそうなので、ほっとしています。

19時半には青一色の花火が5分間で100発打ち上げられます。
これを見るのもまた、とても楽しみです。

それにしても、
この企画を実現させることができた厚木商工会議所の女性会の皆様のパワーには、
ただただ感心するより他はありません。

2007年12月20日木曜日

ネット経由で購入して安く手に入れました

他店より必ず安くしますという家電量販店で、ある品物の価格を尋ねたところ、
1万4千いくらでポイントによる10%引きですとの回答を得ました。
価格.COMで調べたところ、大阪日本橋の信頼できそう店の価格はなんと1万円弱でした。
結局その夜、その大阪の店にインターネット経由で発注すると、あくる日の夕方発送され、
その次の日の午前中に届きました。
値段も断然安く、手元にもすぐ届き、文句なしです。

店舗面積なしで倉庫だけを持っていて商売することができるのであれば、
大きな売り場面積を持つ小売店よりは、販売価格を抑えることができます。

おまけに数日後に確実に届くのであれば、少し離れたところにある量販店に
何度も足を運ぶ必要がありません。おどろくべき便利さです。

さて、そうなるとさまざまな商品の並ぶ量販店では下見だけをしておき、
目星をつけた商品をネットで購入するというケースがどんどん増えていきそうです。
もしそうであるのなら、量販店は単なる見本市会場となっていくのかもしれません。

2007年12月14日金曜日

仕上げと構造と見せ方

建築の構造体というのは、そのものを支えるために必要な物で、
目に見える形で設けられることもあれば、壁や天井などで隠されて見えないこともあります。
出来上がったときに、人目に触れるのは仕上げ材です。
住む人やその建物を使う人の満足度は、仕上げ材、その仕上げ材で囲まれた空間の質で決まります。
構造体は、建物を支えるための主役です。建物を支えるという観点からみると、仕上げ材は脇役です。
でも、人目に触れるという点からすると、仕上げ材が主役となり、構造体は脇役となります。
もちろん、構造体がしっかりと見える形のもので、それを見せることによるデザインが考えられている場合もあります。
構造体は、支えるという役割を果たすがために、安定感や安心感を与えることにつながります。
また、実際には安定していても、少し不安定であるかのような印象を与える方法もあります。
さらには、本当の構造材を隠して、仕上げ材があたかも構造体であるかのようなデザインも可能です。そのような場合には、感覚的に、軽々と支えていると見える構造体が実は仕上げ材にすぎず、実際の構造体は、それとは違うものが見えない形で設置されます。

何かプロジェクトを実施するときには、プロジェクトそのものを進行させるためのさまざまな段取りが必要となります。これが構造体にあたります。実際のプロジェクトでは、表向きの結果が現れます。これが仕上げ材にあたります。
この段取りと結果の関係は、構造体と仕上げ材の関係に似ています。
隠すか見せるか、実際には構造体でないものを構造体であるかのように見せるか、などの
さまざまな場合が考えられます。

段取りを見せることで、そのイベントなりプロジェクトの中身を直接みせる方法
段取りを一切見せずに、表面上の姿のみ見せる形で実現させる方法
実際の段取りは見せずに、表向きで段取りに見えるものを演出する方法
いろいろな形が考えられます。

まとめ
建築の構造体にしろ、プロジェクトの段取りにしろ、
本体を支える仕組みというかからくりというようなものは、
すべてを隠す、堂々と見せる、一部見せる、
実際の仕組みは隠しておいて表面上見せるための仕組みめいた形をつくる
というように、さまざまな見せ方があります。
どの見せ方が一番良いかということを常に問いながら、設計や計画を進める必要があります。

2007年12月12日水曜日

手帳売り場が大混雑

いよいよ今年も残りあとわずかになって、書店その他には手帳のコーナーができ、
結構な人だかりができていたりもします。

手帳にいろいろな機能を持たせることは可能ですが、
その中でも中心的な機能はスケジュール管理でしょう。

デザイン、1ヶ月見開きなのか、1週間見開きなのか、
書き入れる部分のスペースは?など、さまざまな条件と照らし合わせる中で、
どの手帳にしようか迷っている人の姿を多く目にします。

が、スケジュール管理についてだけいえば、
日付が間違いなく入ってさえいれば、
後はできるだけ一望できるようなものであれば、
十分だと私自身は考えます。

よって私自身は表計算ソフトで自前でつくった簡単な月間の一覧表を
半年+α分程度持ち歩くことにこの4月よりしています。
それだけで十分で、不自由をしていないのが現状です。

2007年12月11日火曜日

木造耐力壁ジャパンカップ 決勝の組み立て

第10回木造耐力壁ジャパンカップの決勝トーナメントが12月1日、2日に行われました。8体の工夫が施された耐力壁が対戦しました。それら耐力壁の組み立て風景の映像を12分間にまとめました。対戦の様子の映像は、まだ編集が完了していません。

2007年12月8日土曜日

PISAの結果が報道されているものの

PISA2006の結果が発表されて、ゆとり教育の是非がどうのこうのと新聞やテレビの報道番組などで取り上げられています。
PISAとは、OECDが行う学習到達度調査のことですが、その内容を見ることなしに、結果の順位だけが取りざたされます。

私自身が、とても面白いと感じることは、PISAの結果の取り上げ方の姿勢が、さまざまなものごとについて考える力を測ろうとしているPISAのあり方に反しているということです。

中身を見ないで、上っ面の情報だけで、情緒的に判断をしてしまう。
そうならないためにも、ひとりひとりが、考えるということに手を抜かないことが重要です。

ゆとり教育の弊害がなんとかとか、最近の子供達はとか、あまり考えることなく、つぶやいたり発言したりしてしまっている大人と称する人は、まずは、自らがPISAの問題にチャレンジしてみるべきです。

日本国内ですべての年代でPISAの問題にチャレンジしてみて、
年代別の平均点の結果順位でも出してみても良いかもしれません。

文部科学省が公開している問題の抜粋のページがあります。

PDFをダウンロードしてから開けば、問題文を読むだけでも苦労するなと思えるような
記述解答を要求する問題が並んでいます。
PISAの結果について世間話をする場合には、ぜひことらの問題にチャレンジしてからにしましょう。

2007年12月2日日曜日

木造耐力壁ジャパンカップ決勝

いよいよ12月2日 木造耐力壁ジャパンカップの決勝トーナメント戦が行われます。
昨日、出場する耐力壁8体全ての組み立てが行われました。
壁の組み立ては、出場者自らに行っていただきます。その時間を継続して、施工人数を掛け算して、施工費を割り出します。
そうやって作られた実物大の木造の壁が、並んだ状態で、上部の桁が引き合わされる格好で、対戦します。トーナメント戦を制した壁が強度部門の優勝者となります。

今年は、記念すべき第10回目ということで、
シンポジウムを開催しました。木造耐力壁ジャパンカップのあり方やルールについて、
有意義な意見が行き交いました。
木造に関する技術開発をする機会として、大変良いイベントであるという共通認識の中で、
もっとこのイベントのことを多くの人に知っていただくことが必要だとの意見も出ました。

出場者のみならず、観戦するだけでも、さまざまな知見が得られ、
構造設計のポイントをつかむこともできます。

より多くの皆さんに見に来ていただけるように努力したい思います。